家具に使われる木材を更に深堀り ③工場見学
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前回家具に使われる木材についてお話をしました。
今回は家具に使われる木材についてさらに深堀りしてみようと思います。
家具に使われる木の種類
木材について大きく分けると
「広葉樹」
「針葉樹」
に分かれます。
基本的には家具には「広葉樹」が適しています。
何故かというと広葉樹は針葉樹に比べ「密度が高く固い」特性があるからです。
木材の強度を表す比重で比べてみると、家具に使われる広葉樹
ウォルナット、オーク、レッドオーク、メープルなどで比べてみるとおおよそ0.6~0.7程です。
一方良く耳にする針葉樹
ヒノキ、マツ、スギの比重は0.4前後です。
木材にはもっと固い木材も存在します。
「リグナムバイタ」という木材で比重は1.3前後あります。
ただ固すぎる故に金属加工の道具が使われるとのことです。
硬すぎず「固くて、加工しやすい」特徴を持っている木材が家具に適しています。
広葉樹は針葉樹に比べて高価な理由
広葉樹が高くなる理由は2つあります。
成長に時間がかかる
針葉樹は家具として使えるまでにだいたい40年ほどかかります。
一方で広葉樹はだいたい80年ほどかかります。
針葉樹と広葉樹では成長のスピードの違いが価格にも反映されています。
家具で使われる木材のほとんどが日本に生えていない
ウォルナット、オーク、ブラックチェリー、メープル等は日本に生えていません。
海外からの輸入に頼らざるを得ない状態です。
輸送費も掛かれば為替の影響も受けます。
広葉樹は家具に適していますが、どうしても針葉樹よりも高くなってしまいます。
国産家具メーカーのほとんどは国内で家具を作っていても、材料は海外から輸入している所がほとんどです。
SOLIDも今までは国産材の使用率が全体の10%と木材の大部分を輸入に頼っている状態でした。
世界三大インテリア展示会「ミラノサローネ」に出展 海外からの評価で気づいた事
SOLIDが国産材にこだわるきっかけがありました。
世界三大インテリア展示会の「ミラノサローネ」に出展した時の話です。
日本よりも海外の方が、家具に使用されている木材がどこで採られているのか気になる方が多かったとのことです。
「日本の家具メーカーなのに何で日本の材料を使っていないんだ!?」
と驚かれた方がとても多かったとの事です。
国産家具メーカーとして「これではダメだ!」と思い取り組みが始まりました。
200ヘクタールの自社保有林
取り組んだのが社有林の整備です。
先代の社長が九州で購入していた200ヘクタールを超える山があったのですが、今までは手つかずの状態だったとのことです。
国内材の使用率増加のためにもまずはそこから着手しました。
木を切るための機械を搬入できるように道路の整備から始めないといけないなど、大変な事ばかりだったとの事です。
また、伐採してから急速に乾燥してしまうとひび割れの原因になってしまうため、天然乾燥で8カ月かけてゆっくり乾燥させて、そこから人工乾燥で1カ月かけて乾燥させるとのことで、製品にするまでとても時間がかかってしまうとのことです。
日本産の広葉樹をSOLIDの家具に使う
社有林では針葉樹がほとんどの事でしたが、九州産にこだわらず国内の木材の使用にも力を注いでいます。
国産材のナラ材を使用する計画で、目下乾燥中とのことです。
ただ、これまた製品にするには8~9カ月程掛かるとのことで、先は長い計画ですが着実に前に進んでいます。
国産の広葉樹を使い始めて感じた事は
「国産の広葉樹は品質が悪い」
という事です。
何故かというと簡単な話で、整備されていないからです。
先ほど話したように国内の家具メーカーはほとんどの材料を外国から輸入しています。
そうすると国内の広葉樹は需要が無く、人の手が掛けにくいという事です。
国産材の広葉樹を家具として使う事は海外の木材を使用するより手間もコストもかかってしまいます。
それでも、国産材にこだわるのは持続可能な社会のため、日本の資源の有効活用、本当の意味でメイドインジャパンを広げていくためだという事です。
前回記事
家具に使われる木材の話